![]()
【サントリー酒類】おいしく飲んでもらうための説明を パッケージやツールで工夫 2カ月で年間の販売目標を達成
日本での韓国ブームにより、市場規模が拡大しているマッコリ。今年の3月22日にサントリーが発売した「ソウルマッコリ」は、これまでペットボトルでの販売が主流であったマッコリを「缶」で発売。また、日本人が飲みやすいように微炭酸に仕上げており、これまでのマッコリとは一線を画すものだった。また、テレビCMに韓国スターのチャン・グンソクさんを起用したことでも話題となり、発売から2カ月で年間目標であった35万ケースを販売した。
| サントリー酒類 | ![]() |
スピリッツ事業部焼酎・リキュール部 田上 昇氏 |

マッコリのイメージをカジュアルに転換
──いつ頃からマッコリ市場に注目していましたか。
田上 最初に注目したのは2009年頃です。当時、国内のマッコリ市場は規模としては小さいものでしたが、過去10年で10 倍に伸長しており、話題の市場だと認識していました。そこで実際にどんな人がどんな風に飲んでいるのかを定量調査したところ、マッコリが韓国の白いお酒だということは知っているけれど、味や飲み方までは知らない人がほとんどでした。飲める場所も韓国料理店や焼き肉店などに限られていて、ブームとはいえ飲んでいる人も少なく、かなり限定的な市場だということが分かりました。一方で、マッコリが話題になっている背景を探ると、乳酸菌のお酒というところから連想される「美容」や「健康」のイメージが女性に好評で、特に20 ~ 30代女性で今後飲んでみたいという人が多かったのです。それなら若い女性に受け入れられる提案をすれば、チャンスが広がるだろうと考えました。
──日本市場に導入するにあたり、どのような商品開発を行いましたか。
田上 先ほどの調査でもう一つ分かったことは、マッコリは「アルコール度数が強い、どろっとしたお酒」というイメージを持っている人が多いということです。「美容や健康に良さそうだから飲んでみたいけれど、飲みにくそう」。そんなイメージを変える必要があると思いました。 まず味については、炭酸を加えてすっきりした口当たりに仕上げました。また、それまでは1リットルのペットボトルが主流でしたが、もっと手軽に飲んでもらえるように缶入りにしました。パッケージにはグラスの絵を入れていますが、これも韓国料理屋などで大きな瓶から器に注いで飲むイメージから、よりカジュアルなイメージへと転換させるためです。このように手軽な飲み物へとイメージ転換させることで、トライアルの障壁も下げることができると考えました。
──新商品への流通の反応はいかがでしたか。
田上 マッコリに1リットルペットボトル以外の形状を望む声がある一方で、マッコリは1リットルペットボトルであるべきだろうという声も社内外から聞かれました。しかし、私たちはいまある市場からパイを奪うのではなく、新しいお客さまに新しい飲み方を提案することで、新しい市場を創っていきたいのだと繰り返し伝えました。すぐに納得が得られたわけではありませんが、導入の決め手になったのは味です。味を試してもらううちに、「これならマッコリを初めて飲む人にも受け入れてもらえそうだ」と評価していただき、導入に至りました。
「振って、飲む」正しい飲み方を伝える
──発売後はテレビCMが話題になりましたが、その狙いは何ですか。
田上 マッコリという韓国の伝統的なお酒をそのまま日本に導入しても、「あの飲みにくいお酒でしょ」と思われてしまいます。「微炭酸タイプの缶入りマッコリ」という新規性を伝えるには、韓国ですでに有名なタレントを起用するよりも、新しさのある人がいいと考えました。それでマッコリのやわらかいイメージにもマッチしていたチャン・グンソクさんを起用したのです。期待できるタレントさんだとは聞いていましたが、我々の期待を上回る展開となり、いい出会いだったと感謝しています。
──店頭ではどのような販促施策を行いましたか。
田上 缶入りなので手軽に飲めること、微炭酸ですっきりした口当たりであることをしっかり伝えていくための施策を展開しました。店頭POP では「やわらか微炭酸」を打ち出すとともに、テレビCMにも登場する「ふって、すっきり、マシッソヨ」というキャッチフレーズを用いて、すっきりした味わいで飲みやすいことを訴求しています。また、商品の特性上、中味成分が沈殿しやすいので、飲む前に混ぜてもらう必要があります。そこで缶の裏側にイラスト付きの説明を入れたり、テレビCMやウェブサイトの動画を使って「混ぜることでおいしく飲める」というメッセージを伝えていきました。単に「振ってください」と伝えるだけでは、振り過ぎて炭酸が吹きこぼれてしまい、次に飲みたいと思われなくなってしまいます。正しい振り方をどう伝えるかは、悩みましたね。
──新しいカテゴリーの商品を店頭に導入するにあたり、流通に対してはどのようなアプローチを行いましたか。
田上 「飲み方がよく分からない」というのが導入時の課題だと思いますが、発売当初から一部の営業担当者が「こういう食材や料理と一緒に並べてみてはどうですか」といった食シーンの提案を自発的に行っていました。例えば、焼き肉用の肉売り場やキムチ売り場、惣菜売り場などに商品を一緒に並べて、いろいろな料理に気軽に合わせられることを発信する。そうすることで、単に酒売り場で陳列するよりも、料理との組み合わせを具体的にイメージでき、目に見えて商品の動きが良くなる事例が出てきました。その成功事例をほかの店舗にも紹介しながら、少しずつ実施店舗を広げているところです。流通の担当者の方も、さまざまな料理との組み合わせを楽しみながら実践していただいており、予想以上にバリエーションが増えています。発売1カ月後あたりから商品の売り上げが伸び始めましたが、これはテレビCM の放映やチャン・グンソクさんの露出が増えてきたことに加え、クロスマーチャンダイジングの取り組みによる店頭露出が高まってきたことの相乗効果でははいかと思っています。
発売2カ月で年間販売計画を達成
──商品に対する消費者の反応はいかがですか。
田上 予想以上に良い反響をいただいています。お客さまセンターに届く声には、「飲んでみたら味がすっきりしていた」「これまで経験したことのない味わいでおいしい」というものもあり、ありがたいです。こうした好意的な声をいただく一方で、いろいろなご意見やご指摘も頂戴しているので、今後の商品展開の参考にしていきたいと思っています。 もともと若い女性をターゲットに想定していましたが、40 ~ 50 代男性の飲用者も多く、思った以上に幅広い層に飲んでいただいています。コミュニケーションのターゲットとは違うところで独自に魅力を発見していただいているので、今後も広がる可能性はあると感じています。とはいえ、若い女性の中でもまだ飲んだことのない人は多いので、当面は従来どおりのターゲットに向けてコミュニケーション活動を行っていきます。
──これまでの実績はいかがですか。
田上 発売以来好調に推移しており、5月には今年の販売計画の35万ケースを達成したため、計画数値を当初の約3倍にあたる100万ケースに上方修正しました。7月末時点では58 万ケースです。
──今後のコミュニケーション活動について、展望を聞かせてください。
田上 これから先は、単に商品が目新しいからとか、チャン・グンソクさんのファンだから商品を持って買ってくれる人ばかりではなくなってきます。トライアルを促すにも、単に「飲んでください」とサンプルを渡すのではなく、いかにソウルマッコリを魅力的に見せながら、人に伝えたくなるような“いい体験”をしてもらうかを考えていきたい。それが場の提供なのかサンプリングなのかは分かりませんが、いい体験を発信してもらえる仕組みを構築していきたいと思っています。









