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アイデアを生み出し、それを人と共有して形にするまでには、様々な力が必要だ。プランニングに求められる「発想力」について、「秘密結社 鷹の爪」などフラッシュアニメが人気の蛙男商会 代表・映像クリエイター、FROGMAN氏に聞いた。
FROGMAN[フロッグマン] 映画会社で制作に10数年携わった後、2000年頃からフラッシュアニメーション制作を開始。テレビ局や企業へのコンテンツ提供などを行う。映画「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE〜総統は二度死ぬ〜」は、2008年度NY国際インディペンデント映画祭の正式出展作品にノミネート。
制約を強みに変えた発想の転換
蛙男商会のフラッシュムービーは、キャラクターデザイン、声優、制作のすべてを私が一人で行っています。
なぜこうなったのかというと、2000年頃から活発になり始めたインターネット上での動画配信に可能性を感じ、自分一人で映像を作って配信するために見付けたのがこの方法だったのです。
その頃、10数年経験を積んでいた映画制作のスタッフを辞めて、結婚を機に島根県に移り住んだのですが、人の手を借りずに一人で作れるコンテンツといえば、アニメーションしかありませんでした。
しかも、私は最初からアニメーション制作をビジネスにしようと思っていたので、島根で暮らすための月約20万円を稼ぐためには、3分の動画が1本5万円として4本、つまり週1本の割合で作る必要があった。
しかし、当時週1本という驚異的なスピードで制作する方法などなく、そこで取り入れたのがキャラクターの絵を使い回すという手法です。
通常、アニメは動きで勝負しますが、動きをシンプルにする代わりに、脚本や声の面白さで魅了するコンテンツを作ろうと思ったのです。それまでアニメを作ったことはありませんでしたが、インターネットでフラッシュでの制作ツールを見付け、練習がてらに作った作品が『菅井君と家族石』でした。
これを自分のウェブサイト「蛙男商会」に載せたところ、一般の人たちの間で火がつき、1日で20万ページビューを超えるほどの人気になりました。それでもビジネスにならなければ意味がないので、地元の飲食店のウェブサイトに誘導する広告ムービーを勝手に作り、蛙男商会のサイトに貼り付けたところ、その飲食店のサイトでは1日で1万アクセス超を記録。その後、「バイラルムービーやおもしろCM作ります」とネット上で宣伝するうちに、次第に声が掛かるようになり、リクルートや東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)のようなナショナルクライアントの仕事も手掛けるようになりました。

作品のアイデアを発想するときは、まず絵から入ります。絵を描きながら、「こいつはどんな声を出すかな」と考えて、実際に声に出してみる。すると、そういう声を出しそうなキャラクターになってくるんですよ。例えば強欲そうなおじいさんの顔を描いたなら、強欲そうな声で「オマエの上にビルを建ててやるぞ」などとしゃべってみると、キャラクターの輪郭がはっきりしてきます。キーワードを文字で書いたりもします。「汚職」「救済」「贖罪」など文字で並べてみると、基本的にはコメディに作り上げるのですが、何となくシーンが思い浮かんできますね。
物語は結末から考えます。見終わった人がこんな気持ちになってほしいというフィーリングを想像して、そこから逆算して物語を組み立てていきます。「甘く切なく悲しい気持ち」になれる作品を作るなら、どういう結末がいいのか。そのとき参考にするのは、自分がかつて観てきた映画や舞台が多いですね。同じような気持ちになった場面を思い出しながら、シナリオを書いていきます。例えば、甘く切なく悲しい結末なら、フランソワ・オゾン監督の映画のあのシーンを拝借してみよう、となるわけです。
シナリオを書くときは、普通はキャラクターの気持ちをいかに描くかを考えるものですが、私の場合それを見ている人がどう感じるかを考えながら書きます。こんなことを書くと皆笑ってくれるだろうな、と思ってニヤニヤしながら(笑)。そう考えると、クリエイターは自分の“内なる魂”に問いかけることから作品を生み出すことが多いと思いますが、私の場合はどんどん外に向かって、自分のアイデアをいかに分かりやすく周囲の人に伝えていくかを大事にしています。

アイデアが思い浮かばないということは、ほとんどありません。ビジネスになるまでの期間が長かったので、やりたいことがたくさんありますから。ネタ帳も、特には作っていません。メモしてもどこにメモしたのか忘れてしまうし、メモに書いたとたん記号になってしまうので、後で見返してもつまらないことが多いのです。
それよりも私がしているのは、面白いアイデアを思い付いたらその場で声に出してみたり、絵に描いてみること。頭の中で考えていても心に響きませんが、実際に声に出したり絵に描いてみると、その動作とともに感情も記憶されます。それを、シナリオを書くときに思い出したりします。
作品は私だけのアイデアで作られるものではなく、プロデューサーの椎木(蛙男商会作品ほか、映像コンテンツを扱うDLE代表取締役 椎木隆太氏)の存在も大きいですね。私は彼の意見を参考にしながら作品を作り上げていきますが、彼はビジネスマンの視点から、その作品が売れるかどうかを見極める鋭い嗅覚を持っているんです。
では、そんなプロデューサーと仕事をして、クリエイターとしてやりづらいかというと、そんなことはありません。彼との仕事が心地いいのは、私が作品の中で「ちょっと弱いかな」と思う部分をズバリ指摘してくれることです。悪い部分を指摘してもらえれば、「やっぱりそうか」と納得するし、その部分を直せばいいので安心できます。『鷹の爪団』という作品にしても、元々クマのキャラクターはいなかったのですが、椎木が「何かが足りない、もう少し女の子が気に入ってくれるキャラクターがほしい」と言ったことから、クマのレオナルド博士が生まれました。

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