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アイデアを生み出し、それを人と共有して形にするまでには、様々な力が必要だ。プランニングに役立つ「流行察知力」について、はとバス 定期観光部 企画課主任の守屋友博氏に聞いた。
守屋友博[もりや・ともひろ] はとバス 定期観光部 企画課 主任 1999年入社。外国人旅行担当セクションなどを経験し、6年前より現職。学生時代には、リュックを背負って世界中を旅した経験も。日本を離れることで知った東京の素晴らしさを紹介するべく、奮闘中。
こだわりすぎると良くない 気軽なイメージづくりを
はとバスで、都内を巡るコースの企画を担当するようになってから6年になります。東京タワーや皇居など定番の観光スポットを巡るコースのほか、四季折々の趣向を取り入れたコースなど年間200本程度のコースについて、私を含め二人の担当者で企画しています。また、実際にコースの運営を開始する半年前までに、企画を決定する必要があります。雑誌や旅行誌なども目を通すようにはしていますが、6カ月先のコースを仕込むことを考えると、情報の旬が過ぎてしまう可能性があるため、雑誌などだけではとても足りません。
季節コースを企画する際は、個人で行くには敷居が高い、あるいは名前をよく聞くけれどどのように行ったらいいのか分からないといったスポットを発掘して、そこから攻める場合が多いです。身近なところですとミシュランで星を獲得したレストランをコースに取り入れたり、またニューハーフショーや、一見さんだと入店しにくい銀座の高級クラブへ行くコースは、以前から大変人気のコースです。季節コースは、首都圏在住の方も対象としていますので、はとバスでなければ体験できないプレミアム性や特典を付加し、興味を喚起しています。
ここ一年ほど定着している人気コースが、自衛隊朝霞駐屯地へ行くツアー。自衛隊のトラックやヘリコプターの試乗といった普段できない体験が盛り込まれているので、家族連れを中心にいつも満席状態です。無料施設ですから誰でも行くことができるのですが、あまり知られていないというのもありますし、なかなか個人では行きにくいのかもしれません。
実はこの人気コースは、偶然に生まれたものでした。パンフレットを制作していた際、コースが足りなくて追い込まれていたところで、ふと目にしたのが陸上自衛隊のウェブサイトだったのです。試しに行ってみようということで訪問したところ、私の上司と先方が意気投合。いわば土壇場の状況でコースにしたものです。
案外、いろいろ凝って考えて、時間をかけて企画したコースほど、良い結果を出せないことが多くあります。あまり企画にこだわり過ぎてしまうと、一部のお客さまだけにしか参加していただけない。バスが常に満席状態のコースを目指すなら、ある程度多くの方が興味を持ち、喜ぶような企画が求められます。そのためにも、楽しくて気軽なイメージが大切にしています。

では、どのようにして企画のヒントを得るかと言えば、やはり自分の足で歩き、耳で聞き、目で確かめるしかありません。気になるスポットがあれば、実際に出かけてみるのが一番。雑誌を見て興味を持ったスポットへ行ってみたら、予想外に狭かったり、反対にあまり注目を浴びていないスポットなのに、実際はとても素敵な施設だったりすることもあります。休暇を使って家族とよく出かけるのですが、良いスポットに出会うと、バスが置ける駐車場はあるか、道幅はどうだろうかと、ついつい企画に結び付けて観察してしまいます。そんな時は、後の企画に役立つように、必ずメモを取ったり、カメラで施設の様子を撮影しておくようにしています。
また、異業種の方とのコミュニケーションも、私にとって大切な情報源。同業種同士だと過去の経験値から可否を決めつけてしまう傾向があるので、それ以上の発想の広がりがなかなかありません。異業種の方ですと、固定観念にとらわれない自由な意見が次々と飛び出します。特に、映画配給会社やマスコミ関係の方は、少し先のトレンドをつかんでいることが多いため、とても参考になります。
実際に、黒木瞳さん主演の映画「怪談」とタイアップした企画「講談師と行く 怪談ツアー」などが生まれ、ヒットにつながっています。また、定番の観光スポットである東京タワーも、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」とタイアップすることで、新しい価値を提供することができました。

実施中のコースについては、実際に参加したお客さまの声が何よりの情報源です。それこそが、次のお客さまを喜ばせるための一番のヒントになると考えているので、アンケートハガキは全て目を通します。はとバスには、「100−1=99ではない。ゼロだ」という考えがあります。これは、一名でもお客さまからの悪い意見があれば、悪い意見の方が、良い意見に勝って圧倒的に広がってしまうという意味です。ですから、一人でも不満なお客さまがいらっしゃるなら、できる限りは翌日から改善していこうという意識がスタッフ全員に根付いています。
また、当社はバスを自ら運行していますので、乗車中もコースを回っている間も、お客さまを飽きさせたり、不便を掛けたりすることはできません。従って、私たちが提出した企画も、常にお客さまといつも接している現場の乗務員に厳しくチェックされ、時にはダメ出しされてしまうこともあります。企画の段階から運転手やガイドと協議を重ねて、コースの満足度を高めるように努めています。
さらに、企画の実現には交渉力も欠かせません。当社だけでなく、食事の施設や関連会社ともメリットを共有し、ツアーを長続きできるようにすることが重要です。そのためには、私たちの要求もきちんと伝え、かつ相手の要求も受け入れなくてはいけない。私たちの理想ばかり追い求めても、逆に相手が詰まってしまったら、長続きするビジネスは生まれないですから。
現状は、既存の施設や映画などのコンテンツと組む企画が多いです。しかし、私の中での大きな目標は、はとバスから話題を創り、発信していくこと。今年は、はとバスの60周年という節目の年でもありますので、遊び心のある様々な企画を仕掛けていきたいと考えています。

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